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■旧五十嵐邸 |
静岡県静岡市 まちづくり施設 (国有形登録文化財 木造2階) 2001.07完成 施工:(株)塩坂建築 写真:宮本 和義 |
■蒲原宿のまちづくりが広がることで、まちなみが継承されていきます。
■蒲原の古い建物の修復のモデルを目指して〜まちなみを継承し、活かし続けるために
蒲原宿は、今でも沿道に町割りを残し、新旧の建物が混在しながらも、宿場の雰囲気を残しています。旧五十嵐邸は宿場の中にある和洋折衷建築で、町屋にガラスをはめ込んだ外観や洋風の診療所が特徴ですが、かつての町割りの様子がうかがえる外観や、間取りに蒲原の伝統的な町屋の造りが象徴的に現れています。また、建物は改修前から集会所的な使用がされたり、お月見コンサートが開かれたり、家の中に散在する貴重な資料を整理するなど、まちの人々に親しまれていました。 蒲原宿では、古い住まいのに住む人達を中心にまちなみや伝統的な住まい方を見直す「蒲原宿まちなみの会」や旧五十嵐邸の活用を考える「旧五十嵐邸を考える会」活動等が活発です。旧五十嵐邸もこうした市民活動の拠点施設としての役割を期待され、昨年夏に整備されました。蒲原宿の美しいまちなみづくり、まちづくりの新しい展開が進んでいます。 ■きれいにしすぎない整備〜蒲原宿のまちなみの魅力を次世代に伝えるために 蒲原宿のまちなみがそうであるように、変化しながらまちの中で活き続けてきた時間の移り変わりを体感できるようにしています。そのため、ある一つの時代の姿に固定されないように、修復しています。旧五十嵐邸が使われてきた過程を示すよう、電話室の落書きや襖絵の汚れ、傷や手垢、雨染みも積極的に残しています。いろいろな時代の魅力を多くの人に伝え、受け継がれていくことが、まちなみづくりには欠かせないと考えます。 ■活用の可能性を限定しない整備〜多彩なまちづくり活動の拠点として活用されるように 3期の増改築や医院という性格から、多様な空間を持ち、もともとまちづくり活動の場として可能性を秘めていました。はじめから展示や飲食施設といったような活動の可能性を限定しないよう、あえて、よけいな増改築はしませんでした。活用する住民が、歴史に向かい合い、考え、工夫できるようにしました。 ■地元の職人の手で修復〜まちなみづくりに向けた技術の集積をつくるために 工事は、ほぼ町内業者で行われました。技術指導や重要文化財の現場見学を繰り返し、試行錯誤しながら進められました。ここで培われた技術の集積が、今後、蒲原の古い建物の修理に活かされることによって、まちなみづくりへの大きな役割を担うことが期待されます。 旧五十嵐邸の修復では、汎用性のある方法で、その方法を地域の人達と学習し、普及させる過程を採るようにしました。特に、耐震補強は、古い建物に住む人達にとって重要な関心事でした。補強や繕い工事の過程を公開し、学習してもらうことで、修復の仕組みを理解し、最終的には、まちのおばさん達が自分たちの言葉で解説できるようになりました。「古い」ということを前向きに捉える意識も、広がっています。 ■まちの人達の手で活用方法を検討、実験〜まちなみづくりへの期待 工事前から「旧五十嵐邸を考える会」を中心に、旧五十嵐邸の価値の学習とそれを念頭に置いた活用検討、実験的活用が繰り返し行われてきています。工事中の土壁塗りやペンキ塗りには、職人の指導のもと、地域の子供達が自主的に参加してくれましたした。また、外壁のペンキの色は色環(塗り重ねられた塗装の年輪)を元に想定色6色を選定し、「まちなみの会」の協力のもとに町民投票によって提案されました。この「町民投票」という住民参加手法は、その後、宿内の舗装や街灯デザイン検討にも活用されました。 ■完成後、実験的活用の輪が広がっています〜新しいまちなみづくりへの活動 竹久夢二ロマン展(東海道400年祭)、観月の夕べ(ハープ演奏会)、登録文化財のお祝い会、餅つき大会、西村先生(東京大学)の講演会、まゆ玉つくり、おひな祭りイベント、大型布絵本「浄瑠璃姫と義経」等上演、春の宴(チェンバロ演奏会とお花見御膳)、コーヒーサロン(第1,3日曜)、施設公開のボランティアガイド、桜エビを使った新しい料理づくり、まちづくり講座……。 年中行事や昔の暮らし等をヒントに、活用は蒲原の歴史や文化のまちづくりへ広がっています。まちの人達がまちなみの価値を評価し、宿内のまちづくりに係わることから、美しいまちなみが創られて行くと考えます。 |
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